2025.3.15
曽我(単独)
二王子岳に行くことは決めてはいたのだが、会のS田さんの一言からこのルートを発見。距離は長いが割と踏まれているルートなようなので、行ってみることにする。
05:30、南俣の集落を出発。駐車している車両は6台くらいといったところ。この時期・時間にしては多いような気がする。高知山方面の林道をシートラで進み、除雪終了点からすぐに板を履いて進む。トレースの具合からおそらくこの日は一番最初に入ったと思われる。長い林道歩きの始まりだ。ところどころ沢水などで雪が繋がっていない箇所があるが、横着して板を履いたまま進む。

07:30、2時間かかって狙っていた高知山取り付きの地点まであと少しというところで、大きく斜面上部が全層雪崩を起こしているところに出くわす。踏み跡らしきものが見えたが、さすがにトラバースしたくはないので、シートラして高巻きする。ここで30分程度ロスしてしまった。

08:30、ようやく取り付けそうなポイントを見つけるが、登り始めてすぐに斜度が大きくなってしまった。仕方がないので斜度が緩むまで再度シートラする。高度を上げると徐々に雪が硬くなり始め、シールだけでジグを切ろうとするとグリップが効かない。クトーを付けるが、ずり落ちること数回。この時ウィペットが役に立った。取り付いてからさっぱり上がらないペースと、はっきりしないグレーの雲、単独行と不安要素が揃ってしまい、引き返すことも考え始めるが、とりあえずは高知山までは上がってみようと歩みを進める。

10:30、ようやく高知山山頂に到達。ここまで5時間かかった計算だ・・・。引き返すかどうしようか逡巡するが、高知山稜線からの眺めは曇り空であっても素晴らしいものだった。ここからは稜線歩き、13時までに二王子岳に到達できれば良いかと思い、歩みを進めることにする。目の前には単独スノーシューの先行者がいて、追いついて話すと出発は6時を回ってからだそう。高知山の登りでいつの間にか追い抜かれていたことになるが、聞けば高巻きした箇所よりももっと手前の緩い稜線をたどってきたとのこと(あとで調べてみたがおそらく675m高点を繋ぐ稜線と思われる)。リサーチ不足を反省する。

以降の稜線歩きはやはりペースが上がる。多少アップダウンを繰り返すが、周りには樹林もなく、目の前の二王子岳に続く稜線を忠実に辿れば良いので、とてもわかりやすい。1000m級の里山とは思えない景色だ。やはり飯豊山系は素晴らしいなと感じた。途中、二王子岳から高知山を周回する2グループほどとスライドする。歩きであればこの周回方向がいいのかもしれないが、あの斜度のない林道は山スキーでは遠慮したいところだ。

12:00頃、三王子への取り付き鞍部に到達。斜度がそこそこあり、また雪面もバリバリに凍結している。アイゼンを持ってこなかったことが誤算だった。多少不安はあるがここまで来たらクトーで登りきるしかないので覚悟を決める。滑落しても鞍部で止まるだけだ。リフターは使わず、クトーをガッチリ決めながら、ジグも最小限にして登る。無事、一度もずり落ちることなく12:50頃に三王子神社へ到達。二王子岳へは写真だけ撮りに往復するが、その間にガスに包まれてしまい飯豊連峰はまったく見えなかった・・・。


視界がないので慎重に下山ルートへ。間違えて高知山の方へ進みそうになってしまうが、GPSとコンパスで確認しながら軌道修正。13:30頃に多少視界が開けてきたので、スキーにモードチェンジして滑走開始。残念ながらバリバリのハードバーンで、暴れまくる板を押さえつけながら進む。1202m高点の登り返しはシートラで通過。このあたりからガスを完全に抜ける。視界は広いがどんよりとした雲の下なので、あまり開放感はない。それでもほぼ無風なのがありがたかった。独標あたりからようやく雪が緩み始めザラメに変化。少しだけ滑りを楽しめたがそれも短い時間で、徐々に樹林が濃くなり滑りづらくなる。

一王子神社を過ぎてからは杉ミックスの雪に変化。もはやまともに滑ることができないので、二王子神社手前でシール歩行に切り替えて下山。林道に出てからシールを外そうか悩むが、結局外さず。案の定途中複数箇所で雪切れしていたので、おそらくシールのままで正解だった。長い林道歩きを終え、16:15頃、南俣の集落に到着。久しぶりの充実の10時間オーバー山行だった。


今回の反省点は二つ。
一つ目はアイゼンを持って行かない判断をしてしまったこと。この時期、特に上部の稜線は凍結していることを想定すべきだった。正直、舐めてしまっていた・・・。
二つ目は取り付き稜線の見極め。他人のルートログ等は当てにせず、ベストな登行ラインを地形図をもとに事前に計画すべきだった。
なんだかんだあったが、素晴らしい稜線歩きができたことで満足の修行となった。でも次は山スキーじゃなくていいかな。


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