浅草岳(山スキー)

山スキー

2024.12.21
L曽我、野口

6:30頃、大自然館前に到着。意外にも駐車スペースに車両は先行の関東ナンバー一台のみ。踏み跡からどうやらスノーシューのようだ。準備をしているともう一台単独の男性が現れる。少し情報交換させていただき、男性が先行してスタート。我々も遅れて6:50頃スタートする。

大人気だろうと覚悟していたが拍子抜け

進行方向に向けて少し晴れ間が見える。悪くないコンディションとこの時は感じていた。少し歩くと林道と登山道の分岐で、スノーシューは林道方向に進んでいた。この距離を林道経由で・・・?と思ったが、今にして思えば浅草岳目あてではなかったのかもしれない。

先行の単独男性の後を追うが、ラッセルにも関わらずなかなか追いつけない。心配していた林道末端の渡渉点はすっかり埋まっており、楽に渡ることができた。やはり今年は例年と比べると明らかに雪が多い。少しして先行の男性が行き詰まっており、トップ交代してラッセルさせてもらう。しかしいくらも登らないうちに自分も行き詰まり、野口にラッセル交代。今日はこの3人でラッセルを回すことになりそうだ。

杉林の中はいつも尾根筋の見極めが難しく感じる

杉林を抜けるとブナの平原に辿り着く。背後には守門岳がドンと構え、右手には雲の切れ間から快晴の八海山、中ノ岳、越後駒が光輝いて見えた。一方こちらはだんだんと風雪が強くなり、天候が崩れ始めていることを実感する。

越後駒、中ノ岳
守門岳
天候が悪化傾向でも、こういう景色に出会えると来て良かったなと思うんである

南を見ると良さそうな斜面が広がっている。あとで野口から教えてもらうが、鬼が面との間の北岳に繋がる稜線らしく、冬場は滑走の対象になるらしい。しばらくしていよいよ稜線に出ようかというところで念のため早めにクトーを装着する。風向きが変わったのか、不思議なことに風が弱まるが、雲が降りてきてしまいどんどん視界が悪くなる。野口が変な声をあげたので前を見ると先行の方が稜線で転倒していた。滑落せず良かった・・・。追いつくと、視界不良なのでこのまま来た道を下山するとのことだった。我々はキリよく目の前のカヘヨノボッチまで行くこととする。

このくらいの視界ならまだなんとかなったのだが
カヘヨノボッチから前岳方面。リッジがわずかに見えるが、ここをスキーで進むのは現実的でない・・・

たどり着いたカヘヨノボッチから前岳方面を一瞥した後に即撤退決定!なぜか尾根登りを含めて、浅草岳の山頂は縁遠い・・・。今回狙っていたヤスノ沢もまた次回にお預けである。

そうと決まれば滑走準備を開始。10:45頃に往路を滑り出す。出だしは狭い尾根の中をキュウキュウとした感じで滑るのでフラストレーションがあったが、徐々に尾根が開けてくる。雪も軽く、やや底つきのあるパウダーで滑りやすい。

気持ちいい!
高度を落とすとあっという間にガスを抜け、視界が開ける

視界が開けたところで小休止。野口と相談し、まだ時間に余裕があるので、このまま往路を戻らず、ルート開拓(アドベンチャールート!)を選択。まずは1,300mからヤジマナ沢を滑走することに。

滑り出しが北面で良い斜面だった

最終的に左岸に上がって往路に戻るつもりでいたが、どうも左岸は斜度が急だったり、薮が濃かったりで具合がよろしくない。そこでしばらく右岸を進むことに。しかし進むにつれ左岸の状況はあまり芳しくなく沢は深くなり、流れる水の音まで聞こえてくる。左岸に戻るのを諦めて右岸をトラバースし続け、えんやこらと漕ぎながらなんとか12;20頃、林道終点(桜曽根登山口)まで到着。

林道終点から左岸の対岸。おそらくこの緩い林道跡を辿って往路に復帰できるのだろう
浅草岳方面。ガスが切れたり現れたりを繰り返していた。もう少し粘れば滑走できたのだろうか

再度野口と相談。林道は見通しがよくわからないのと距離が長すぎることから夏道を辿ることに。これが大正解、北面に隠れたパウダー斜面祭りだった。

しかしそんな祭りもそう長くは続かず、下部に進むにつれ急斜面と薮に悩まされる。沢床まで落とすと、残念ながら沢は完全に埋まっておらず、渡渉に苦労する。曽我は取り出したシールが沢に転がり落ち、もう少しで流されて行ってしまうところを野口に苦労して引き上げてもらう。危機一髪だった・・・野口さんありがとう。

力強い投擲!

渡渉した先も薮薮とアップダウンで消耗したが、無事往路のトレースに14:10頃に合流する。あとはシールを剥がして自動運転・・・と思いきや、太ももに乳酸が溜まりまくっていてうまく滑れない。痛みに耐えながら、14:40頃、無事に大自然館に到着。

山頂を踏めなかったのは残念だったが、その後のルート開拓、パウダー引き当てを含め、満足度の高い山行だった。単独ではなかなか選択できない行動だ。一方で、バックアップ含め一切事前計画していないルートを選択したことは、何か起こった時のリスクを考えると、あまり褒められたものではないなと感じる。しかしやはり今回は、ルート開拓にこそ山スキーの醍醐味があると改めて感じた次第です。

(曽我)

関連記事

最近の記録

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP
CLOSE